常吉村営百貨店について

常吉村営百貨店

□常吉村営百貨店について

京都府京丹後市大宮町常吉(つねよし)地区で、地域住民が出資し、住民が自主運営してきた集落で唯一の商店。なんでもあるから百貨店をコンセプトに、暮らしになくてはならない食品や日用品を扱い、地域の暮らしを支えてきた地域のシンボル的存在。

行政に頼らず、買い物難民対策を住民自らが取り組んできた先駆け的存在として、その活動は広く評価され、2000年に自治大臣表彰、農林水産大臣表彰、日本農林漁業振興会会長表彰、2001年には農業会議会会長表彰を受賞するなどしています。全国からの視察も絶えず、新聞、テレビなど各種メディアの取材も数多く受けています。

□常吉村営百貨店設立の経緯

丹後大宮農協は1996年の春に合併してJA京都丹後になり、合理化の一環として常吉支所の廃止が決まりました。農協の支所は生活の基盤であり、集落内の唯一の商店でした。

買物弱者の生活が立ち行かなくなる不安から、支所廃止反対の交渉をJAと続けましたが、話がなかなかまとまらず、「ピンチをチャンスと逆手にとらえて、自分たちで作ろう」と発想を転換し、村づくり委員会のメンバーが中心となって、百貨店設立に動きました。

1997年12月に農業生産法人・有限会社「常吉村営百貨店」が設立。何でもあるから、何でもするからという理由で百貨店となりました。町村合併前までは常吉村が存在しており、百貨店の誕生によって懐かしい村名がよみがえることとなったのです。

□常吉村営百貨店設立の理念

村づくり委員会が中心に立ち上げられたことがあり、百貨店は村づくりと密接な関係にあります。設立当初の目的としてつぎのようなことがあります。

 ・農業と福祉と暮らしを柱にし、地域活性化のための拠点にする。
 ・高齢者、子どもが安心して暮らしていけるためのお店づくり。
 ・子どもたちには、ふるさとを誇りに思い「(大きくなっても)やっぱり常吉に住んでいたい」と思ってもらえるような地域づくり

 平成8年に地域の小学生に常吉地区がどのような町であってほしいかという夢を絵に描いてもらったものがあります。その中に「田舎ランド」計画というものがあり、そこには「田舎ショップ、お店が欲しい」と書いてありました。

いなランド計画

常吉にはお菓子を買いに行くお店もなく、友達を呼ぶにも引け目を感じさせることがありました。そうではなく、友達に常吉を自慢したくなるように、子どもたちが描いた計画をひとつずつ実行しようとしたのです。

 「つくる楽しみ、持って行く楽しみ、売れる楽しみ、お金がもらえる楽しみ、そしてお金を使う楽しみ」という5つの楽しみを住民に提供しようとしたのが、常吉村営百貨店の原点でした。

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